秘伝!クスリの減らし方
日時 2017年5月22日 10:00~17:00
場所 新潟県上越市上正善寺1171 上正善寺公民館
研修 小倉謙氏「秘伝!クスリの減らし方」
研修内容
・断薬するためには0~5段階のステップがある。
ステップ0 決断すること
ステップ1 薬について知る
ステップ2 環境を整える
ステップ3 体の準備
ステップ4 薬をとめる
ステップ5 薬を抜く
体内から薬が抜けて初めて「断薬ができた」と言える。断薬するには身体的な準備だけでなく環境の準備も必要。そうでなければ断薬をしたときに生じる離脱症状・フラッシュバックに立ち向かうことができない。断薬とは決して一人でできるものではなく、又、準備・対処法を学ばないでできるものではない。すべてのステップについて学ぶことで断薬に向けてすすめていく。
感想
5/6松阪での講演で「断薬するには体の調子を整えなければならない」との話を聞いていたので栄養面での話があることは想像できていた。しかしその前に環境を作ることが大事と聞いて、分かっていそうで分かっていなかったことだと感じた。確かに減薬・断薬するには周りの環境が大事である。私たちは施設という立場上支援する人数はある程度確保できている。では施設だけでできるか?といえばそうではない。保護者の協力はもちろん、周りにある施設にも理解・協力を求めること。この先続けていくことには必要なことである。こういった取り組みが広まることで知的障害者の人権が守られていくことにもつながるのではないかと感じた。長い道のりになるかもしれないが小さな一歩が大事である。前に進むためにどうしていくべきかを常に考えていくべきである。
印象的だったのが質疑応答の時に「無理と思ったら医療機関に送ることは仕方ないこと」「助けられないと思ったら助けない」との話がでたことだ。助けられるものを助けるのはもちろんである。だが助けられないものまで頑張って助けようとして共倒れする必要はないと話されていた。離脱症状がでて危険な状態になったとき・対応できなかったときに「ここが最後の砦だから」と踏ん張る必要はない。そう定義することは実際に対応する支援員のストレスを軽減できるのではないかと感じた。また、マニュアルは支援員の最低限の技量の人に合わせることが大事とも話されていた。できないことをやれということは支援員にとってストレスになることである。現場にいる人間の判断を尊重できる職場作りは大事となってくる。利用者の情報だけでなく支援員間のコミュニケーションをとってお互いの理解を深めていくことの重要性を感じた。
小倉謙氏への質疑応答まとめ
〇減薬・断薬をしていくときにどのような注意をして利用者を見ていけばよいか?
・相手を観察すること・注意を向け続けることが重要。(こちらが興味をもつ)
普段とどう違うかを見つけることが大事。様々な兆候を見逃さないために普段から観察していくこと。必ず兆候があるから兆候の時点で逃さない。
〇小倉氏が考えるレッドゾーンとは?
・レッドゾーンを決めるのは確かに難しい。
・レッドゾーンを考えてマニュアルをつくることは大事だと思う。ただそのマニュアルが支援員の技量にあっているか?対処できるか?対処でない支援員にできないことを求めるのはすごいストレスとなる。マニュアルは一番下の支援員に合わせるのが安全。支援をしていて例えば離脱症状が出たときに「私では無理だ」と思ったら医療機関にまわす。これは仕方ない話。
施設となると他の利用者もいる。その人だけに24時間付き添える状況ならそれでもいいが、できないのにそれをしようとすると他がおろそかになり、同じ状況の人をたくさん作りかねない。これは失敗するサイクル。私(小倉氏)は酷だが無理だと思ったら助けないようにしている。
そこにいる人の観察と判断をきちんとできるように普段からコミュニケーションをとる。「無理だと思ったときに医療に回す」ことに施設の中できちんとコミュニケーションが取れている(合意があるか)ことが重要。支援員間のコミュニケーションを大事にし、その判断(無理だと思った判断)が尊重できる環境つくりをすることが大事。そうでなくては支援員にかかるストレス・プレッシャーが過大となり仕事が成り立たなくなる。
〇「断薬は食事でカバーできる」は具体的には?
・ミネラル・タンパク質・ビタミンを多く取る。
質のいい肉・魚を食べる。ビタミンは熱に弱いのでできたら生野菜から。
サプリメントといった手もあるが、サプリメントじゃ取れないもの(人ケミカル・リコピンなど)があるので食品で(人参やブロッコリーなど緑黄色野菜)取れるものを食べるようにする。水煮食品は使わない。
〇食事で必要なものを摂取するとしてどれくらいで効果がでるのか?
・基準がないため評価の目安はない。(個々の体質がある。調べるのは不可能)
〇ずっと食べ続けることになるのか?
・断薬に向けて体調を整えるため強化して食べていたものは断薬が終わってから2週くらいはそのまま続けた方がよい。その後減らしていくことは可能。
・十分な栄養を取ると離脱症状が抑えられているケースが多い。
〇責任問題について
・間違いなく医療機関は責任を持たない。保護者に事実を話す(薬の内容・副作用・知的障害は治らないなど)・コミュニケーションを密にするなどして理解を作っていくことが大事。施設だけでやろうとしない。
〇断薬は医師の了解がないとすすめられない。医師を説得するには?
・今考えらえるのが2つ
①講義でも言ったがひとり(ひとつの施設)で進めるのは難しい。保護者だったり他の施設だったりを味方につけて訴え続けることが大事。
②医師にしか処方ができないならそこを逆手にとるのも一つの手。飲まないといけないという医師がいるなら飲まなくてもいいという医師を頼る。(ただしそういう医師はかなり少ない)
他の参加者からの質問
〇子どもがけいれんを起こした。熱性けいれんは大丈夫だけど熱がでていないなら救急搬送と説明されている。脳波の異常があればてんかんといわれたのだが?
・てんかんと痙攣ってどうちがう?これには病理的な根拠がなく見分けがつかない。てんかん脳波というがてんかんが起こっている時に測っているわけでもない。現れた症状に病名をつけただけであり医師の主観で診断されている。病名で惑わされないように。
〇薬の副作用で太った。ダイエットしたいけど運動をするとフラッシュバックの危険が…。
・対策を取ってから対処できそうならしてもいいと思う。本人にもフラッシュバックの説明をおくのが大事
〇薬やめたが離脱症状がない。
・でてきていないだけ。フラッシュバックは起こる。
〇フラッシュバックは運動したときだけ?
・心に大きなストレスがかかると神経に負荷がかかりフラッシュバックをおこすことがある。
*心の映像には周波数がかかっている。ストレスがかかると多くの電気が放出され一気に燃焼。燃焼により脂肪組織から薬物が放出される
〇ピル・ワクチン・ステロイドは同じととらえていい?
・脂溶性のものは同じと考えていい。
〇カルシウムの吸収には酢の物がいいというけど酸度は?
・酸度5%が望ましい。
必要なものの中にマグネシウムを挙げていたがマグネシウム自体はアルカリ性。中和する為に酸度が必要。マグネシウムはわかめに多い・
しらす・じゃこ カルシウム・たんぱく多い
粉だしならイワシ100%・あご(トビウオ)100%のものを使う
〇幻覚・幻聴
・幻覚・幻聴は2つの要因が考えられる。
① 栄養不足・欠乏状態
② 強い抑圧から逃げるため(この場合血中濃度は関係ない。コントロールできない状態)
① の場合は必要なものを摂取したらいい
② の場合は安心感のあるところへ移す。
安心感のあるところ→広いスペース・水の音がしないところ(刺激を絶つ)
安心感を与えられたらおいしいごはんやコミュニケーションを。
〇砂糖はミネラルを出してしまうというけど果物は?
・そこまで制限しなくてもいいと思われる。
変に制限をかけると必要なものが取れなくなる。炭水化物はエネルギーの元だから
そこを制限すると体温があがらなくなるといった弊害だってある。
〇薬でアレルギー。やめてさらにひどくなっている。
・アレルギーを起こしているのが昔(例えば幼少期)の薬の影響かもしれない。
〇知的障害者でもステップ5のプログラムを受けることはできる?
・コミュニケーションである程度把握できることは必要かも。内臓系な病気を持っていると厳しい。全面的にできないわけではなく門戸は開けている。
〇ステップ3まで取り組んでステップ4の時期をずらしていくのは?
・期限は決まってないからタイムラグを持たせることはできる。やりやすいところから始めていく。
〇離脱症状なくして断薬はない?
・ほぼ出る。出ないというか鈍くなっていてわからないことはあるかもしれないが、
奥底に入り込んでいて出てきていない可能性がある。フラッシュバックには気を付けて。 温泉入っていてフラッシュバックが出ることもある。
〇抜きやすい薬って?
・抜きやすいってうたっている薬は離脱症状がすぐに出ない薬なことが多い。後々に出てくる可能性がある。
〇学校に精神科医入っているが、その精神科医から病院に行って薬もらってこないと学校に来てはいけないと言われた。
・明らかな人権侵害。
・学校にいかない。学校での環境が状態に影響を及ぼしている可能性がある。本人が学校を辞めることを拒んでいる。本人にどうして学校に行きたいか?本当の理由をきいていく。正しいと思う理由を聞いていく。(否定と評価はしない。事実を聞き出す)おそらくそこから考える機会を与えることができる。
村瀬 はな
COMMENT ON FACEBOOK