2018年 海外障害者施設視察(大韓民国 済州島)

2018年 海外障害者施設視察(大韓民国 済州島)

2018年 海外障害者施設視察(大韓民国 済州島)

日 時:2018年4月3日~2018年7日
場 所:大韓民国 済州島(済州市内、西帰浦)
参加者:施設長:李在一、顧問:孫勇一
目 的:海外の障害者施設視察

1. Jeju Center for Independent Living

 済州市内にある、Jeju Center for Independent Living(以下JCIL)は日本で言うと障害者自立支援センターに当たる。同施設は済州障害者人権フォーラムの下部組織として活動し同様のセンターは西帰浦(済州島南部)にもある。

 事務局長のキムチェフン氏(上記写真右側)によると済州島の人口は約67万人。そのうち障害者は約10%程度と日本の比率に比べるとやや高いように思われる。障害者の内訳比率は分からないとのことであったが、知的障害者に関して言うと絶対数が少ないため発達障害と同じカテゴリー分けをされており、知的障害に関する専門のセンター等はないとのこと。
よって、発達障害(知的障害)に関わるプログラムや事業も存在しないと言っていた。
 入所施設に関しては国がサポートしている施設は存在してはいるが、障害のカテゴリーごとにあるのではなく身体も知的も精神も混在しているとのこと。また韓国も日本と同様に脱施設へと移行しているようである。

 次に、障害者の福祉制度は基本的には日本の法律を参考にしているが、福祉制度が充実しているかと言えば、まだまだ日本に追いついていないのではと感じているようであった。障害基礎年金に関しても月に20,000円程度の支給のみで、この金額だけでは暮らすことは到底無理である。障害者が働く場所も少なからずあるが決して十分とは言えず、一般企業の障害者雇用枠も2%と設定されているが、実のところは企業が罰金を支払うことで障害者を雇用することは限りなく少ないと、ため息交じりの現実を話してもらった。

 またJCILでは以下の付属機関を設置し各種事業を展開している。
 ①夜間学校(対象:小、中、高)
 ②文化芸術センター
 ③権益擁護センター(虐待、放置に関する事案に対して調査権を持って実施)
 ④観光弱者に対するセンター(webにて障害者への情報提供を実施)

 最後に、こいしろの里の減薬・断薬の取り組みを話したところ大変に興味深く耳を傾けてもらった。韓国でも最近になってようやく福祉団体が精神疾患に対する減薬・断薬に対して声をあげるようになってきたが、まだまだ声が小さく日本との協力に関しては前向きに検討できると話してくれました。

2. Seogwiposi Center for Independent Living

 西帰浦(済州島南部)にある同センターはJCILと同様の活動をしながら、Seogwiposi Assistive Technology Centerを併設し、身体障害者用の補助具の修理等を行っていた。

 知的障害者の働く場として自活作業所があり、ソーセージ、テンジャン(味噌)、ティッシュ、横断幕、陶磁器などの製造業に携わっているとのこと。韓国でも日本と同様に障害者優先調達法はあるものの、決して十分な利益を確保できていないのが現実のようである。
 こいしろの里では、海外の福祉施設とのネットワークづくりを実施しており、今後、双方にて職員研修の話をしたところ、事務局長のイヨンヒ氏は笑顔で頷いてくれた。

3. 農場視察と大学跡地

 知り合い(金氏)がいちご農園の開業を予定しており、その予定地を訪問。韓国でもいちごの生産は盛んで特に東南アジアの富裕層向けに輸出を伸ばしているが、金氏は日本の幾つかの品種を水耕栽培にて生産を計画している。予定地ではすでにビニールハウスおよび住居もあり、準備は着々と進んでいるようであった。

 また、済州島でも日本と同様に農業従事者の高齢化が問題となっており、農業を引き継ぐ若者が少ないようだが、逆に言うと畑を格安で借りることも可能との情報に、現在こいしろの里にて継続テストを実施しているホワイトソルガムの栽培の可能性を残す余地があると思われる。
 次に、耽羅大学が廃校となりその跡地利用の検討が模索されているが、金氏を中心に在日村の拠点場所としての利用活用も検討されている。そのプランの中には障害者への職業訓練などのプランも含まれており、こいしろの里としても上記の農業プランと抱き合わせで検討する余地があるのではと考えています。

その他

 済州島は昨年、観光客が1,500万人、今年は2,000万人を越える見込みだという。おそらくその原因は街並みがきれいな点にあるような気がする。町中にゴミの集積所があり早朝から掃除をしている人が目立つ。やっぱり掃除は大事。

 また、済州島の小学校が綺麗で美しい!ことにビックリ!校庭が総じて芝生になっていて遊具も非常におもしろいものが多い。あっ、これは日本と比較しての話。日本と比較すると校舎をはじめ圧倒的にグレードが高い。こんなところで子どもたちが教育を受けることが出来たら素敵だと感じました。

孫勇一

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